BasicCompマニュアル VSTプラグイン配布元: 音圧爆上げくん

BasicCompとは?

BasicCompは、 自然にダイナミックレンジを圧縮することに特化した、 高音質のVSTコンプレッサープラグインです。 自然さに特化しているのでマスタリング、ボーカル、ドラムに最適です。 音圧爆上げくんの内部処理でも使われています。 Fixed Volumeという、レシオを変えても出力音量が変わらないようにする機能を持つので、 出力音量の変化に惑わされることなくレシオによるダイナミックレンジの変化だけを集中して聴くことができます。 Speedという一つの設定によって、 アタック、リリース、ルックアヘッドの設定を自動で行う機能を持つので、 誰でも簡単に距離感/奥行きとダイナミックレンジの操作に最適な値を設定することができます。 Stereo Expanderを使うと、 一つのパラメータを操作するだけで、自然に音場を広げることができます。

プラグイン画像

インストール方法

BasicComp.vst3とBasicComp64.vst3を以下の場所にコピーしてください。

  • C:\Program Files (x86)\Common Files\VST3\BasicComp.vst3
  • C:\Program Files\Common Files\VST3\BasicComp64.vst3

DAWがVST3に対応していない場合は、VST2版(BasicCompVst2.dll, BasicComp64Vst2.dll)を以下の場所にコピーしてください(DAWによってインストール先が異なる場合があります)。

  • C:\Program Files (x86)\VstPlugins\BasicCompVst2.dll
  • C:\Program Files (x86)\VstPlugins\BasicComp64Vst2.dll

使ってみよう！

ここではBasicCompの使い方を順番に説明していきます。

※文中のカッコ内の数字は画面上の数字に対応します。

プラグイン画面説明画像

Fixed Volumeを調節して基準音量をあわせる

  1. 1. チャンネルにBasicCompをインサートして音を再生してみます。
  2. 2. プラグイン画面の左のグラフに入力音量(5)が表示されます。
  3. 3. グラフ上のFixed Volume(9)が、入力音量の平均に近くなるようにFixed Volume(1)を調節します。
Fixed Volumeの詳しい解説はこちら

Ratioを調節してダイナミックレンジを調節する

  1. 1. Ratio(2)を調節してダイナミックレンジを圧縮してみます。ここは一般的なコンプレッサーと同じ作業です。
  2. 2. Fixed Volume機能のおかげでRatioを変えても出力音量が変動しづらいと思いますが、もし変動する場合はFixed Volume(1)を微調整してください。

Speedを用途に応じて選ぶ

Speed(3)を以下の2種類の設定から選んでください。

  1. Fast: 距離感/奥行きを変えたい場合はこちら。 少し暴れているトラックの奥行き感を狭くして空間の奥の方に配置する用途などに適しています。
  2. Slow: 距離感/奥行きを維持したままダイナミックレンジを圧縮したい場合はこちら。 ドラム/ボーカルなど臨場感を保ったまま前面に配置したいトラックや、マスタリングに適しています。
Speedの詳しい解説はこちら

Stereo Expanderで音場を広げる

  1. 1. Stereo Expander(4)を調節してみて、良い音になったと感じた位置で止めてください。
  2. 2. 他のパラメータと違い、Stereo Expanderによる音の変化はわかりづらいので注意して聴いてみてください。
Stereo Expanderの詳しい解説はこちら

詳しい解説

はじめに

BasicCompではパラメータの数と設定できる範囲を意図的に絞っています。 音楽制作では、トライアンドエラーを繰り返しながら各プラグインの最適なパラメータ設定を模索することが多いですが、 一般的なコンプレッサーでは調節する必要のあるパラメータが多いので、トライアンドエラーに時間がかかります。 その結果、限られた時間内で全てのパラメータをベストに設定しきるということは難しいです。 BasicCompでは、 アルゴリズムによって自動設定できるパラメータを積極的に自動設定して、 調節が必要なパラメータを減らすことで、 より重要なパラメータに集中できるようにしています。 一般的なコンプレッサーと比べて設定できるパラメータに違いがあるので、 その対応付けなども含めて、 BasicCompの技術寄りの部分を説明していきます。

Fixed Volume

Fixed Volumeは、簡単に言えばメイクアップゲインとスレッショルドを自動で調節してくれる機能です。 一般的なコンプレッサーではRatioを変化させると音量が変わってしまうので、 その都度メイクアップゲインを調節しないと出力音量を安定させることができません。 BasicCompでは、あらかじめ入力音の平均値付近にFixed Volumeをあわせておくことで、Ratioを変えても出力音量が変わらないようにすることができます。 この機能によって、出力音量の変動に気をとられることなく、純粋にダイナミックレンジの変化を聴くことができます。 正確には、Fixed Volumeは入力音と出力音の音量が同じになるようなポイントです。 例えば、Fixed Volumeが-20dBのときは、-20dBの入力音がそのまま音量が変化することなく-20dBで出力されます。

スレッショルド

スレッショルドは、Fixed Volumeから40dB下げた値に自動設定されます。 これはダイナミックレンジが40dB以下で、S/N比が40dB以上の入力音源に最適な値なので、 BasicCompが得意とするマスタリング、ボーカル、ドラムなどを含め、ほとんどの音源に対して有効です。

Speed

Speedは、一般的なコンプレッサーにおけるアタック(Attack)、リリース(Release)、ルックアヘッド(Look-ahead)に対応しています。 ただし、BasicCompではそれらを個別に設定できるようにはせずに、 Speedによって自動で設定するようにしています。 設定値は、音響心理学の研究結果を元に、 自然にダイナミックレンジを圧縮することに特化した値を選んでいます。 Fastは音の距離感や奥行きの操作に適した値、 Slowはダイナミックレンジの操作に適した値になっています。

Stereo Expander

Stereo Expanderは、音場を広げてステレオ感を強めてくれる機能です。 Pannerプラグインに付属していることが多い、 MS(Mid-Side)に信号を分けてSide成分を強めるだけの単純なStereo Expanderとは違い、 LRチャンネルの音が互いに逆相で交じり合うことを防いでいるので、 不自然な音になることが少ないです。 アルゴリズムは、MSコンプレッション(Mid-Side Compression)をベースにしていますが、 パラメータの自動設定により、一つのパラメータで手軽に音場を広げることができます。 自動音量補正が働くので、 MSコンプレッションのように副作用としてダイナミックレンジが小さくなってしまうことが無いです。 全体のダイナミックレンジはRatioで、ステレオ感はStereo Expanderで独立に調節することが可能です。 そのため、Ratioを1に設定することでStereo Expanderだけを使用することもできます。

画面の見方と操作

プラグイン画面説明画像
1. Fixed Volume設定
2. Ratio設定
3. Speed設定
4. Stereo Expander設定
つまみをマウスでドラッグすることで値を変更することができます。 Altを押しながらドラッグすると操作感が変わるのでお好みで使ってください。 方向キーまたはマウスホイールによっても値を変更することができます。 この場合Shiftを押しながら変更することで刻み幅を細かくすることができます。 Ctrlを押しながらクリックするとデフォルト値に戻すことができます。 右クリックでDAW標準のメニューを表示することができます(FL StudioのBridgeを利用している場合はメニューを表示できません)。
5. 入力音量(dB)
横軸が入力音量を表します。
6. 出力音量(dB)
縦軸が出力音量を表します。
7. 音量圧縮曲線
コンプレッサーによって圧縮した結果、入力音量に対して出力音量がどのような関係になるかを表します。
8. スレッショルド
自動設定されるスレッショルドです。この値よりも小さい入力は圧縮されません。
9. グラフ上のFixed Volume表示
Fixed Volumeの設定値と入力値の平均を比較しやすいように、設定値をグラフ上に十字の青線で表示しています。

注意事項

  • 環境によっては動作しない可能性があります。
  • 遅延(Latency)のあるプラグインなので、DAWの遅延補償(別名: 遅延補正, Delay Compensation)を有効にして使用してください。

使用条件

  • 商用、非商用を問わず無償で使用可能です。
  • 再配布禁止です。
  • 利用した事によるいかなる損害も作者は一切の責任を負いません。

更新履歴

2016/12/24 v1.1.4
  • PreSonus Studio Oneで正しく音声処理が行われない問題を修正。
2016/12/03 v1.1.3
  • VST2に対応
2016/11/24 v1.1.2
  • まれにプリセットが正常に保存できないバグを修正
2016/11/19 v1.1.1
  • プリセットロード時にフリーズするバグを修正
2016/10/31 v1.1.0
  • 環境によってフォント表示が崩れる問題を修正しました。
  • つまみを右クリックしたときに表示されるメニューにHelpを追加しました。

ライセンス

Copyright 2016 音圧爆上げくん All Rights Reserved.

依存ライブラリ

BasicCompのビルドには以下のライブラリが使用されています。

https://github.com/kazuho/picojson

Copyright 2009-2010 Cybozu Labs, Inc.
Copyright 2011-2014 Kazuho Oku
All rights reserved.

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